伝説のスピーチ マークザッカーバーグ | 言葉と人生

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伝説のスピーチ マークザッカーバーグ

マーク・エリオット・ザッカーバーグは、アメリカ合衆国のプログラマ、実業家。Facebookの共同創業者兼会長兼CEO。 ハーバード大学在籍中にソーシャル・ネットワーキング・サービスサイト「Facebook」を立ち上げた。2010年のTime誌「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。 生年月日: 1984年5月14日

伝説のスピーチ 全文

ここに立てて嬉しいです。

こんな土砂降りの中集まってくれて皆さんありがとう!

皆さんにとって価値のあるものにしましょう!

ファウスト大学総長、監督委員会のみなさま、教授陣、卒業生、友人たち、そして誇らしく思っているご両親、顧問委員会のみなさま、そして、

”世界で最も偉大な大学の卒業生”のみなさん!

私は今日ここにいられることを誇りに思っています。

なぜって、あなたがたは僕ができなかったことを成し遂げた

(中退したザッカーバーグと違って卒業したこと)んですからね!・・・このスピーチをちゃんとやりとげたなら、

これがハーバードで僕がちゃんと最後までやりとげた最初の何かってことになるでしょう。

2017年クラスの皆さん、おめでとうございます!

僕はちょっと珍しいスピーカーかもしれません。

いや中退したってことだけじゃなくて、僕は皆さんとだいたい同じ世代の人間ですからね。

僕とみなさんは、10年も離れていない時期に同じこのキャンパスを歩き、

同じ概念を学び、同じEC10の講義で居眠りした仲というわけです。

確かに違う経路を辿ってここまで来ました。

もしあなたが、遠路はるばるthe Quadエリアから歩いて来た人だったりすると特にね。

しかし、

今日僕は

「同じ僕らの世代」から学んだことについて、そして僕らが一緒に作っていくべき未来について

お話するつもりです。

でもその前に、ここ数日の出来事は色んなことを思い出させてくれました。

みなさんの中でどれくらいの人が、

ハーバードからの合格通知のEメールを受け取った時に

まさにどこで何をしていたか覚えていますか?

僕は、テレビゲームのシヴィライゼーションをやってて、

階段を降りていくと、

父親に会ったんですが、どういうことか彼がやったことは、

僕がEメールを開くところをビデオに撮ることでした。

そんなことして落ちてたらどうするつもりだったんでしょうね。

誓って言いますが、ハーバードに入ったことは両親が僕について最も誇りに思っていることだと思います。

ほら、ウチの母親が頷いてます。

でもみんな、私の言ってることがわかるでしょう?

ここを出てからだと、これ以上のことをするのが難しいってわかるよ!

ハーバードでの最初の講義についてはどうでしょう?

僕の場合は素晴らしいハリー・ルイス教授によるコンピュータ・サイエンス121のクラスで、

遅れて大急ぎだったのでTシャツを逆に着ていて、背中のタグが前にあるのにも気づいてませんでした。

そのことは後で気づくのですが、なんで周りの人たちは僕に話しかけてくれないのかな?と不思議に思っていたんです。

でも、KX・ジンってヤツが唯一話しかけてきてくれて、一緒に問題集を解き始めることができました。

今彼はフェイスブック社の重要な部分を担ってくれています。

そう、だからね2017年卒のみなさん、周りの人には優しくしておいたほうがいいよ。

しかし、僕のハーバードでの最高の思い出は、プリシラ(ザッカーバーグの奥さん)に会ったことです。

その時僕はちょうどイタズラで作ったウェブサイトのフェイスマッシュを立ち上げたところでした。

そのイタズラについて、大学の顧問委員会が僕に”会いたい”と言って来て・・・

まわりのみんなが僕はもう大学を追い出されると思っていました。

私の両親なんかは僕の荷造りを手伝いにわざわざやってきたぐらいで。

友人たちはサヨナラパーティを開いてくれたりしました。そこまでするか?て話ですよね。

幸運なことに、プリシラはそのパーティに友達と来ていたんです。

僕とプリシラはPfoho Belltower寮のバスルームで出会いました。

そこでこれ以上ないくらいロマンティックな台詞を僕は言ったんです。

「ここ数日中に大学を追い出されちゃうからさ、できるだけはやくデートしよう」

みんな、この台詞、使っていいよ。

ともあれその時は退学にはならなかったんですが・・・

まあ結局はあとで自分から退学することになったんだけど!

そしてプリシラと僕はつきあいはじめました。

そう、あの映画”ソーシャルネットワーク”ではフェイスマッシュはフェイスブックを作る上で物凄く重要なステップだったように描かれてたけど、

実際はそうでもなかったんですよ。

でも、フェイスマッシュを作ってなかったらプリシラには出会えてなかっただろうと思います。

そして彼女は僕の人生で最も大事な人だ。

つまり、フェイスマッシュは僕がハーバードで作ったものの中でもっとも重要だったと言ってもいいかもしれないね。

私たちは、この大学で、一生モノの友達を得ます。

そしてその中には家族となる者もいるでしょう。

だから僕はこの場所に感謝してるんです。

ハーバード、ありがとう。

人生の目的

さて。

今日、僕は「目的」について話します。

しかし

「あなたの人生の目的を見つけなさい的なよくある卒業式スピーチ」

をしたいわけではありません。

僕らはミレニアル世代なんだから、そんなことは本能的にやっているはずです。

だからそうじゃなくて、今日僕が話したいことは、

「自分の人生の目標を見つけるだけでは不十分だ」

という話をします。

僕らの世代にとっての課題は、

「”誰もが”目的感を人生の中で持てる世界を創り出すこと」

なのです。

ジョン・F・ケネディがNASA宇宙センターを訪れた時のエピソードで僕の大好きなものがあります。

ホウキを持ってる清掃員さんにケネディが何をしてるのかと訪ねたら彼はこう答えました。

「大統領、私は人類を月に送る手伝いをしているのです」

「目的」というのは、僕ら一人ひとりが、小さな自分以上の何かの一部だと感じられる感覚のことです。
自分が必要とされ、そしてより良い未来のために日々頑張っていると感じられる感覚のことなのです。

「目的」こそが本当の幸福感をつくるものなのです。

あなたがたは、このことが特に重要な時代に生きています。

僕らの両親が卒業した時には、

「目的感」は仕事や、教会や、コミュニティがたしかに与えてくれました。

しかし今は、テクノロジーと自動化技術が沢山の仕事を消し去っていっています。

コミュニティへの所属感も消えてきている。

多くの人が取り残され、抑圧されていると感じ、

その空白感をなんとか埋めたいとあがいている。

私は色々と旅をする中で、少年院や薬物中毒者の子供達の隣に座って、

彼らが

「もし自分の人生に何かするべきことがあったなら、学校帰りにどこかでとか・・・そしたらもっと違う人生になっていたかも」

と語るのを聞きました。

また、元の仕事が無くなって行くのを知って、自分の居場所を探している工場労働者の人たちにも出会いました。

この社会を前に進めること、それが僕ら世代の課題です。

新しい仕事を作るだけじゃなくて、あたらしい「目的感」をも作り出さなくちゃいけない。

カークランド寮の自室でフェイスブックを立ち上げた夜のことを思い出します。

Noch’s ピザ・レストランに友達のKXと一緒に行きました。

僕はこう言ったことを覚えています。

「今日僕がハーバードのコミュニティを繋いだってことには凄い興奮してるけど、でもそのうち誰かが世界中の人を繋ぐだろう」

ここで重要なことは、

「自分じゃないかもしれないが、誰かがやるだろう」

というこの感じです。

僕らはただの大学生のガキで、業界のことは何も知らなかった。

大きなリソースのある色んなデカイIT企業がいくつもあってそれぞれが色々やってる。

そのうちのどこかがやるだろうと思った。

しかしこのことだけは物凄く確かにわかっていたんです・・・

”人々は繋がりたがってる”

ということだけは。

だから僕らは毎日やることをやって前に進むだけなんです。

あなたがたの多くにも、似たような話があるはずです。

「誰かが起こすであろう”ある変化”」

があって、そのことが自分には明確に見えているという感じが。

しかし「誰か」がやるんじゃないんです。”あなたが”やるんです。

ただ、自分の人生の目標をそこで見つけるだけでは十分ではありません。あなたは、誰か他の人にもその「人生の目標」が持てるようにしてあげなくてはいけない。

それはとても大変なことでした。

実際、僕の望みは大きな会社を作るってことじゃなくて、

社会にインパクトを与えることなんです。

しかし、初期から一緒にやってくれてる人たちはそのことを当然わかってくれていると思っていたので

一々説明はしませんでした。

でも数年たって、ある大きな会社が僕らを買いたいと言ってきた。

僕は売りたくなかった。

僕はもっと多くの人を繋げたいということだけを考えていた。

その時は初期の「ニュースフィード機能」を作っていたところでした。

そしてこの機能を公開できたら、人々が世界を知る方法を変えることができるだろうと思っていた。

でも、初期メンバーのほとんど全員が売りたがっていました。

「より大きな目的感」がないなら、会社を売り抜けることはスタートアップの夢そのものだからです。

このことで会社は分裂してしまいました。

ある激論の後で、ある顧問が僕に

「もし今売らなかったら、一生後悔するぞ」

とまで言いました。

人間関係はズタズタになり、一年ほどで経営陣チームの全員が会社を去りました。

その時が、フェイスブックを経営していて一番大変な時期でした。

僕は自分たちがやっていることの価値を信じていたけど、でも孤独でした。

しかも悪いことに、それは僕の過ちでした。

自分は間違っていたのか?詐欺師なのか?それとも世間を知らない22歳のガキなのか?

と悩んでいました。

そして今、何年もたって、私は、それは

「より大きな目的意識」

がない時に起きる自然なことなんだということがわかりました。

そういう「目的感」を作れるかどうかは自分たち次第なんです。

それがあればみんな一緒に前に進んでいくことができる。

今日、僕は世界に「目的感」を持ってもらうための3つの方法についてお話します。

その1・一緒に大きくて意味のあるプロジェクトについて語ること
その2・”平等性”を再定義して誰もがその目的に参加する自由を持てるようにすること
その3・世界規模のコミュニティを創り出すこと

です。

まず、「大きくて意味のあるプロジェクト」についてお話しましょう。

僕らの世代は、数千、数百万の仕事が自動運転車や自動トラックのような自動化技術によって置き換えられていく事態に対処しなくてはいけません。

しかし、私たちはもっとそれ以上のことができるはずなのです。

どんな世代にも、その世代を特徴づける課題があります。

30万人以上の人が、一人の人間を月に送るために働きました・・・清掃員さんも含めてね。

百万人以上のボランティアの手によってポリオへの免疫を子供たちに獲得させることができた。

百万人以上の人がフーバーダムを作った・・・などなど。

これらのプロジェクトは、その仕事をやった人たちに生きる目的を与えただけではありません。

国全体に、「俺達は偉大なことができるんだ」というプライドを与えたのです。

次は僕ら世代の番です。

あなたは

「ダムの作り方なんて知らないし、百万人を動員する方法なんてわかんないよ」

って思ってるでしょう?

しかし、秘訣をお教えしましょう。

誰もそれを始めたときは知らないんです。

アイデアはいきなり完成形でやってきたりしない。それについて取り組んでいるうちにだんだんクリアになってくるんです。

とにかくまずは始めなくては。

人と人を繋ぐ方法が全部わかるまで始められないのだとしたら、僕はフェイスブックを始められなかったでしょう。

映画やポップカルチャーは、ここのところがわかってません。

「そうかわかったぞ!(エウレカ!)」

と叫ぶ奇跡の一瞬があるというのはキケンな嘘です。

自分にはそんな瞬間なかったぞ・・・と居心地の悪い思いをさせてきます。

その嘘によって、

「将来大きくなるはずのアイデアのタネ」

を持っている人がとにかくそれを始めることを辞めてしまうかもしれない。

あ、そうそう、イノベーションについて映画が間違ってることがもう1つあった・・・「誰も数学の方程式を窓ガラスに書いたりしません」。

理想主義的であること自体は良いんです。

しかし、誤解しないようにしなくてはいけません。

大きな目標に向かっているすべての人は狂人扱いされます。

たとえ最後には正しかったとわかる場合でもね。

複雑すぎる課題に向かっているすべての人が、自分がやっていることを十分に理解してないとか言って責められます。

事前に全部わかってるなんてことが全く不可能な場合であってもです。

イニシアティブを取るすべての人が、急ぎすぎだと非難されます。

いつだってもっとゆっくりさせたい人たちがいるからです。

僕らの社会では、あまりにミスを恐れるあまり、

もし何もせずにいたらそもそも全てがダメになってしまうということを忘れてしまって、

結局何もせずにいてしまうことがよくあります。

そりゃ何をやっていても、それなりに未来に課題はうまれますが、

しかしだからといって、

「それを始める」ことから逃れることはできません。

じゃあ僕らは何を待ってるんですか?

「僕らの世代の課題」に取り組むべき時です。

僕らが地球を壊してしまう前に、数百万人の人々をソーラーパネルの製造と設置に巻き込んで、

気候変動問題を止めるというのはどうでしょう?

すべての病気についてボランティアを募って彼らのヘルスデータと遺伝子データを集めるというのは?

今日僕らは病気にならない予防法を見つけることよりも50倍以上もの費用を既に病気になった人の治療に費やしています。

そんなことは馬鹿げていますね。

なんとかしましょう。

オンラインで投票できるようにして民主主義を現代化するというのは?

あるいは教育を個人化してすべての人が学べるようにするのは?

これらの課題はもうすぐ手が届くところにあります。

すべての人に役割を与えるプロセスの中で、キッチリ全部実現させてしまいましょう。

ただ「進歩」を実現するためだけでなく、

多くの人のための「目的」を創り出すために。

さて、「大きくて意味のあるプロジェクト」の話が、

あらゆる人が人生に目的を持てる世界を作るための一つ目だったとして、

二つ目は、

”平等性”を再定義して誰もがその目的に参加する自由を持てるようにすること・・・です。

僕らの両親の世代の多くの人は、そのキャリア全体において安定した仕事がありました。

しかし今はすべての人が”起業家的”です。

何かスタートアップをやってる人にしろ、組織にポジションを得てる人にしてもね。

それは凄いことです。

企業家精神の文化とはつまり、沢山の進歩を創り出す方法ですから。

起業家文化は、多くの新しいアイデアを簡単に試せるようになっている時に栄えます。

フェイスブックは僕が最初に作ったプロジェクトではありません。

僕はゲームも作ったし、チャットシステムも作ったし、スタディツールも、音楽プレイヤーも作りました。

こういうのは僕だけの話じゃないです。

JKローリングはハリーポッターを出版できるまでに12回も断られました。

ビヨンセですら!”Halo”を作るまでに何百曲と作ったんです。

大きな成功は「失敗する自由」によって生まれます。

しかし今日、僕らの社会はどんな人にとっても問題であるほどの富の格差問題を抱えています。

もし”ある人”がそのアイデアを実行に移す自由がなかったら、それは”僕ら全員にとっての”損失です。

今の僕らの社会は既に実現した成功に報いることを過剰に評価しすぎる一方、

あらゆる人が十分にチャレンジできる余地を与えることはできていません。

そのことを直視しましょう。

僕がこのキャンパスを去って10年以内に何十億ドルと稼げた一方で、

何百万もの学生がその学資ローンの支払いにも困っていて、

彼らのビジネスを始めることすらできていていない。

そんな社会は、どこかが間違っている。

僕は色んな起業家を見てきて、その仕事じゃあ十分稼げないだろうから始めなかったっていう人は一人も知りません。

しかし、それが失敗した時に致命的なことにならないようにする緩衝材としての経済的余裕がないために夢を追うこと自体をそもそも諦めてしまう人は沢山見てきました。

良いアイデアと、ハードワークがあれば必ず成功するわけではないことはみんな知っています。

それだけじゃなくて運も必要です。

もし僕がコードを書くかわりに家族を支えなくてはならなかったら、

そしてもしフェイスブックがうまくいかなくっても死ぬわけじゃないってことがわかってなかったら、今日僕はここにいないでしょう。

実際の話、今ここにいる人はそれだけで既に相当ラッキーな生い立ちなのです。

すべての世代が、「平等」という言葉の定義を押し広げてきました。

上の世代は、投票権と公民権について戦った。それらはニューディール政策とグレイトソサエティ政策に結実しました。

今、僕らの世代が僕らの世代の新しい社会契約を結ぶべき時なのです。

これからは、GDPのような経済的指標だけでなく、どれだけ多くの人間が、意味のあると感じられる人生を送れているか・・といった指標で社会の進歩を測っていくべきです。

だれもが自分の新しい挑戦ができる余地が与えられるような、

ユニバーサルベーシック・インカムのような制度が検討されるべきだ。

一生のキャリアの中で働く会社を何度も変えなくてはいけない時代だから、

1つの会社に紐付けられていない形の、多くの人にとって手の届く育児とヘルスケアの仕組みが必要です。

誰しもがミスをします。

だからこそ僕らには失敗者が身動きできなくなったり、汚名を着せられて社会的に抹殺されたりしない社会が必要です。

そしてテクノロジーが変化し続ける時代ですから、

(若い頃に一度だけの教育でなく)生涯に渡って継続的に教育を受けることにもっと目を向ける必要があります。

そして、そう、あらゆる人にその目的を追う自由を与えることはタダではできません。

僕のような人間がそのコストを支払わなくてはならない。

そして多くは富を得ることになるだろうあなたがたも、そうすべきです。

だからプリシラと僕は、チャン・ザッカーバーグ・イニシアティブを始めて、僕らの財産を機会均等の推進のために使っています。

これが僕らの世代の価値観です。

僕らはこれをやるかどうかについては、

一度も疑ったことがありません。

問題は”いつ”やるかだけでした。

ミレニアル世代は、最もチャリティに前向きな世代の1つです。

アメリカでは、

1年の間に4人中3人のミレニアル世代が何らかの寄付をし、10人中7人が何らかのチャリティ基金を呼びかけています。

しかし問題はお金のことだけではないのです。

時間のこともある。

週に1時間か2時間あれば、誰かに手を差し伸べることはできます。

その人がその人の潜在的可能性に到達できる手助けができるのです。

そんなに時間取れないよ・・・と思うかもしれない。

プリシラがハーバードを卒業した後彼女は教師になりました。

そして彼女と教育関係の仕事を始める前に、彼女は僕に一度クラスを持ってみるべきだと言いました。

僕は文句を言いましたよ・・・いや、っていうかね、僕も結構忙しいんだよ。この会社経営してるんだし・・・ってね。

でも彼女がどうしてもというので、

地元の少年少女クラブでの中学生の起業についてのクラスを教えました。

僕はそこで製品開発やマーケティングについて教えて、

彼らは僕に、

自分の人種が社会から目の敵にされることや家族の一員が刑務所にいるってことがどういう感じなのかを教えてくれました。

僕は自分の学校時代のことを話しました。

そして彼らも、いつか大学に行ってみたいという希望について語ってくれました。

それから5年たちますが、僕は彼らと毎月食事をしています。

彼らのうちの一人は、僕とプリシラにとってのはじめてのベイビーシャワーパーティを開いてくれました。

そして次の年、彼らは大学へ行きました。一人残らず全員がです。

彼らの家族でははじめてのことです。

僕らは誰しも、誰かに手を差し伸べる時間を作れます。

すべての人に、自分の目的を追える自由を与えましょう。

それはそうすることが正しいことだからというだけではありません。

そうすることで、より多くの人がそれぞれの目的を追求できたら、僕らの社会全体がよくなるから、そのためにやるのです。

それが理由なんです。

目的感

さて、目的感は仕事からのみ来るものではありません。

3つめの話は、コミュニティを作ることでみんなに「目的感」を与えることができるという方法です。

そして僕らミレニアル世代が「everyone」という時、

それは「(アメリカ国内だけでなく)世界中のみんな」のことです。

外国から来た人、手を上げてもらえますか?

じゃあ、彼らと友達になっている人はどれだけいますか?

・・・この通り僕らは「繋がっている時代」に育ってきたんです。

ミレニアル世代に、自分たちのアイデンティティを問うと、

最も多い回答は「国籍」ではなく「宗教」でもなく「民族」でもなく、「世界市民」だという調査結果があるそうです。

これは凄いことだ。

すべての世代が、「ぼくたち・わたしたち」という概念を押し広げてきました。

僕らにとっては、ついにそれが世界中に広がることを目指しているわけです。

人類の歴史は、小さい集団からより大きな集団へ、部族から都市へ、そして国へ・・・

と多くの人間が寄り集まり、

協力しあうことで今までできなかったことを可能にしてきた物語であることを、

僕たちは知っています。

そしてその最も大きなチャレンジが、

今まさにグローバルに展開していて、僕らはまさに貧困や病気を終わらせることができる世代でもあるのです。

そのためには世界中からの協力を得ることも必要です。

気候変動問題や世界的な感染症の拡散問題について、

どの国も一国だけで対処はできません。

今目前にある問題は、都市単位や国単位でなく、グローバルコミュニティレベルでの協力関係が必要な課題なのです。

しかし、僕らは不安定な時代に生きています。

世界中にグローバリズムに取り残されたと感じている人たちがいる。

もし自分が暮らしているホームグラウンドでの人生に満足を感じられていない時、世界のどこか他の場所の人たちのことまで考えるのは難しいです。

そういう時には内向き志向の圧力が高まります。

課題

これは僕らの時代の課題です。

自由と開かれたグローバルコミュニティに対する、権威主義や孤立主義、そして国家主義との争い。

知と交易、移住する人の流れを促進していく力と、それをスローダウンさせようとする力とのぶつかりあい。

これは国同士の争いではなく、考え方同士の争いなのです。どんな国にもグローバルな繋がりに賛同する人がいるし、またそれに反対する「良い人たち」もいます。

これは国連で何か決めたりできるような問題ではありません。

もっとローカルなレベルで起きていることです。

もし十分な数の人間が自分自身の人生に目的と安定を感じて生きられているとしたら、その時人類は「他の地域の人たちの問題」についてケアしあうことも可能になるのです。

だからこそ最善の対処法は、今ここで、ローカルなコミュニティを立て直すことなのです。

人間は人生の意味をコミュニティから得ています。

エリオットハウスの人?ロウェルハウスは?あなたたちはコミュニティを見つけたんですね。

文字通りその集団の上で生きている。

それがどんなものでも家だったり、

スポーツチームだったり、教会だったりアカペラグループだったり、

それらは自分がより大きな何かの一員であることを、そして一人じゃないってことを教えてくれます。

それによって僕らは自分の可能性を押し広げる強さを得ることができる。

だからこそ、この10年であらゆる社会グループが4分の1も減少したことが致命的なことなのです。

世界にはそれ以外のところで何とか人生の目的を見出さなくてはいけない人たちで溢れている。

しかし、人間はもう一度コミュニティを立て直すことができるし、多くの人はすでにそうしています。

僕はアグネス・イゴイェに出会いました。

今日の卒業生です。

アグネス、どこにいます?

アグネスは子供時代を、人身売買の横行するウガンダの紛争地帯で過ごしました。

そして今彼女は、ローカルコミュニティの安定に寄与する数千もの法律家のトレーニングをしています。

また、ケイア・オークリーとニハ・ジェインにも会いました。

二人も今日の卒業生です。

ほら、立って。

ケイアとニハは慢性病に苦しんでいる人たちの、コミュニティ内部での助け合いの関係を繋ぐ非営利団体を立ち上げました。

そしてデイヴィッド・ラズ・アザール、ケネディスクール(政策大学院)を今日卒業したデイヴィッドにも会いました。

ほら、デイヴィッド、立って!

彼は元市議会議員で、メキシコシティをラテンアメリカで最初の「婚姻の平等」を実現した都市に・・・サンフランシスコよりもはやく!導きました。

そしてこれは僕の物語でもあります。

寮の部屋のある学生が、まずある1つのコミュニティを繋ぎ、そしてそれが世界中に広がっていったのです。

変化はローカルに始まります。

グローバルな変化も最初は小さく始まる。

僕らのような、僕らの世代において、もっと多くの人を繋ぐことができるかどうか、僕らの最大の課題が実現できるかどうかは、全てこのことにかかっているんです・・・

あなたがコミュニティを創り出し、そしてありとあらゆる人が、自分の人生に目的感を感じられる世界を創り出すことができるかどうかにね。

まとめ

2017年クラスのみなさん、あなたがたは、「目的」を必要としている世界へと飛び込んでいきます。

それが創り出せるかどうかはあなた方次第なんです。

そんなこと本当にできるかなあ!?って思っていますか?

僕が少年少女クラブで教えたクラスの話を思い出して下さい。

ある日授業の後で、僕は彼らに大学の話をしました。

そして彼らのうち最も優秀な一人が手を上げて、自分は不法移民だから大学に行けるかどうかわからないと言いました。

彼が大学に行けるかどうか彼にはわからなかった。

去年僕は彼を誕生日に朝食に誘いました。

何かプレゼントをあげたかったので何がいいか聞きました。

そしたら彼は苦労している学生たちのことを話し始め、社会正義に関する本が欲しいかな・・・と言ったんです。

僕はびっくりました。

彼は人生についてシニカルになってしまっても当然な状況にいるんですよ。

彼のことを唯一知っている故郷であるまさにその国が、自宅に電話かけてきて、彼の大学への夢を断ってしまうかもしれない状況にいる。

でも彼は自分を悲観したりしません。

彼は自分のことを考えてすらいない。

より大きな目的感の中で生きていて、人々を巻き込んで行くのでしょう。

彼の未来を危険にさらすことになるのでここで彼の名前すら言うわけにはいかないような社会状況ではありますが、

しかし将来どうなるかも知らない高校三年生が世界を前に進めるために自分の責任を果たしているなら、

我々にだって、我々の責任を果たすことでその世界に対して借りを返す義務があるのですはないでしょうか?

皆さんがこのゲートを出ていく前に、

メモリアルチャーチの前に座って、僕はミ・シャベイラの祈りを思い出していました。

それは僕が困難に直面した時にいつも唱える祈りです。

自分の娘をベッドに連れていく時に彼女の未来を思っていつも歌っている祈りです。

それはこう続きます。

「私たちに先立つ者たちに祝福を与えてきた力の源よ、私たち自身の人生に祝福を与える勇気を見いだせるよう助けてください。」

みなさんがそれぞれの人生を祝福する方法を見いだせることを願っています。

2017年クラスの皆さん、おめでとうございます!グッドラック!

-スピーチ
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