Franz Kafka
フランツ・カフカ(1883年~1924年)
現在のチェコ出身の小説家。代表作は『変身』『審判』『城』など。マルセル・プルースト、ジェイムズ・ジョイスと並び20世紀の西欧文学を代表する作家とされる。
1883年7月3日、オーストリア=ハンガリー帝国領プラハで高級小間物商を営むユダヤ人一家の長男として生まれる。
兄弟は次男と三男がいずれも幼くして亡くなった。その後、3人の妹が生まれるも妹3人で固まり、両親はいつも仕事場にいたためカフカは孤独な幼少期を送った。
6歳のときに小学校に入学。4年間の修学期間を優等生として過ごし、終生の友人となるフーゴ・ベルクマンと出会う。
10歳のときにギムナジウム(中等教育機関)に入学。カフカはスピノザ、ダーウィン、ニーチェなどの著作に関心を抱き、将来作家になる夢も抱いていた。
18歳でプラハ大学に入学。当初は哲学専攻を希望していたが、父の希望する法学を専攻。
大学では1歳年下のマックス・ブロートと知り合う。ブロートは当時すでに新進作家として名を成していた。
23歳のときに大学を卒業。その後、労働者傷害保険協会に就職。14時までの勤務となり、残りの時間を小説の執筆に当てる。
25歳のときに友人マックス・ブロートの仲介により、カフカの作品が文芸誌に掲載される。
29歳のカフカは4歳年下のユダヤ人女性フェリーツェ・バウアーと出会う。2年後に婚約するも結婚によって執筆が妨げられるという不安が消えず、婚約を解消。
翌年、再び彼女と交際をはじめ、34歳のときに2度目の婚約を交わす。しかしカフカは肺結核と診断され、病気を理由に再び婚約を解消。
結核を発症したカフカは長期療養と職場復帰とを何度も繰り返すことになる。
39歳のときにカフカは勤務ができなくなり退職、年金生活者となる。翌年、ウィーン大学付属病院に入院、その後ウィーン郊外のサナトリウムに移る。
1924年6月3日、フランツ・カフカは死去。40年の生涯を閉じた。遺体はプラハに送られ、ユダヤ人墓地に埋葬された。
カフカは亡くなるまでに7冊の本を出した。その死に際し、カフカは友人マックス・ブロートに草稿やノート類をすべて焼き捨てるようにとの遺言を残す。しかしブロートは自分の信念に従ってこれらを順次世に出していった。
名言
I am free, that is why I’m lost.
わたしは自由です。だから道に迷ったのです。
God gives the nuts, but he does not crack them.
神はクルミを与えてくださる。でも、それを割ってはくださらぬ。
One of the most effective temptations practiced by the devilish [element] is the invitation to a fight.
悪の最も効果的な誘惑手段の一つは闘争への誘いだ。
So long as you have food in your mouth, you have solved all questions for the time being.
あなたの口のなかに食べ物がある限り、すべての問題はとりあえず解決されたのです。
A first sign of the beginning of understanding is the wish to die.
知性のはじまりの最初の兆候は、死にたいと願うことだ。
It’s only because of their stupidity that they’re able to be so sure of themselves.
愚かさによってのみ、彼らは自分に自信を与えることができるのだ。
A book must be the axe for the frozen sea inside us.
書物は我々のうちなる凍った海のための斧なのだ。
Not everyone can see the truth, but he can be it.
誰もが真実を見ることはできない。しかし真実であることはできる。
Paths are made by walking.
人が通ったところに、道は出来る。
Evil knows of the Good, but Good does not know of Evil.
悪は善のことを知っている。しかし善は悪のことを知らない。
There is a destination but no path; what we call path is hesitation.
あるのは目標だけだ。道はない。われわれが道と呼んでいるのは、ためらいに他ならない。
The true way is along a rope that is not spanned high in the air, but only just above the ground. It seems intended more to cause stumbling than to be walked upon.
真の道は一本の綱の上に通じている。その綱は空中に張られているのではなく、地面のすぐ上に張ってある。渡って歩くためよりは、つまずかせるためのものであるらしい。
Start with what is right rather than what is acceptable.
無難なことからではなく、正しいことから始めよ。
Beyond a certain point there is no return. This point has to be reached.
ある地点からは、もはや立ち帰ることはできない。その地点まで到達しなければならぬ。
There are two cardinal sins from which all others spring: Impatience and Laziness.
人間には他のあらゆる罪悪がそこから出てくる二つの主な罪悪がある。すなわち短気と怠惰。
He who seeks does not find, but he who does not seek will be found.
探し求める者は見つけることができないが、探し求めない者は見出される。
All human errors are impatience, a premature breaking off of methodical procedure, an apparent fencing-in of what is apparently at issue.
人間のあらゆる過ちは、すべて焦りから来ている。周到さをそうそうに放棄し、もっともらしい事柄をもっともらしく仕立ててみせる。
Books are a narcotic.
本は麻薬です。
The meaning of life is that it stops.
人生の意味とは、それが終わるということです。
I think we ought to read only the kind of books that wound or stab us.
自分を傷つけたり、刺したりするような本だけを読むべきだと思う。
Test yourself on mankind. It is something that makes the doubter doubt, the believer believe.
人間を吟味せよ。疑う者には疑わせ、信じる者には信じさせよ。
Slept, awoke, slept, awoke, miserable life.
寝て、起き、寝て、起き。みじめな人生。
A non-writing writer is a monster courting insanity.
執筆しない物書きは、狂気を求める怪物です。
Many a book is like a key to unknown chambers within the castle of one’s own self.
多くの書物には、自分自身の城内の未知の広間を開く、鍵のような働きがある。
In the struggle between yourself and the world, back the world.
あなたと世の中との戦いなら、世の中のほうに賭けなさい。
The spirit becomes free only when it ceases to be a support.
精神は支えであることをやめるときに、はじめて自由となる。
Youth is happy because it has the capacity to see beauty. Anyone who keeps the ability to see beauty never grows old.
青春が幸福なのは、美しいものを見る能力を備えているためです。美しいものを見る能力を保っていれば、人は決して老いぬものです。
The fact that there is nothing but a spiritual world deprives us of hope and gives us certainty.
精神の世界以外には何も存在しないという事実、これがわれわれから希望を奪い取って、われわれに確信を与える。
A cage went in search of a bird.
鳥籠が鳥を探しに出かけていった。
Life without truth is not possible. Truth is perhaps life itself.
真実のない生というものはありえない。真実とは多分、生そのものであろう。