Albert Camus
アルベール・カミュ(1913年~1960年)
フランスの小説家、劇作家、思想家。43歳の若さでノーベル文学賞を受賞。代表作は『異邦人』『シーシュポスの神話』『カリギュラ』『ペスト』など。
1913年11月7日、北アフリカにあるフランス領アルジェリアに生まれる。
父は農場労働者(19世紀初めに曽祖父がフランスから移住)であったが、アルベール・カミュが生まれた翌年のマルヌ会戦で戦死。以後、母と兄とアルベールはアルジェ市内のスペイン系の母の実家に身を寄せた。
1918年、5歳のカミュは小学校に入学。
母の一家は貧しく、当初進学は考えていなかったが、カミュの才能を見抜いた先生が家族を説得。10歳のカミュは奨学金を受けて高等中学校に進学した。カミュは先生から受けた恩を生涯忘れなかったという。
高等中学校ではサッカーに打ち込み、また優秀な成績を収めた。しかし、16歳のころに結核の徴候が現れやがて喀血。この結核は生涯を通じてカミュの健康をおびやかすことになった。
18歳のときにアルジェ大学文学部に入学。カミュは在学中にシモーヌ・イエと結婚するも生活はやがて破綻し、後に離婚。
1936年、22歳のときに大学を卒業。翌年にエッセイ集『裏と表』を出版。
1938年、新聞記者となり、冤罪事件や植民地経営の不正を暴く記事を書いた。
1939年、第二次世界大戦が勃発。入隊を志願するも健康上の理由で拒否される。カミュは紙上で平和主義を唱え続け、後に解雇される。
その後、印刷関係の仕事をしつつ、不条理をテーマにした三部作『異邦人』『シーシュポスの神話』『カリギュラ』を書き進める。
1940年、ナチスドイツがパリを占領。占領下の1940年12月、カミュはフランス南東部のリヨンでフランシーヌ・フォールと結婚。その後、妻の実家のある北アフリカのオランに一時身を寄せ、この地で三部作を完成させ、『ペスト』の執筆にも着手。
1947年、33歳のときに極限状態での市民の連帯を描いた小説『ペスト』を刊行、復興期のフランス社会で幅広い読者を得てその文名を高めた。
1956年、43歳のときにノーベル文学賞を受賞。
1960年1月4日、友人が運転する車が木に衝突し、アルベール・カミュは即死。46年の生涯を閉じた。
名言
Freedom is nothing but a chance to be better.
自由とは、より良くなるための機会のことだ。
A guilty conscience needs to confess. A work of art is a confession.
やましい心には罪の告白が必要である。芸術作品とは告白なのだ。
Those who lack the courage will always find a philosophy to justify it.
勇気に欠ける者は、常にそれを正当化するための理屈を見出す。
An intellectual is someone whose mind watches itself.
知性に優れた人とは、自分自身を監視できる人だ。
There is not love of life without despair about life.
生きることへの絶望なしに、生きることへの愛はない。
All great deeds and all great thoughts have a ridiculous beginning. Great works are often born on a street corner or in a restaurant’s revolving door.
偉大な行動や思想は、ばかばかしいきっかけで生まれる。街角やレストランの回転ドアから、名作は生まれるのだ。
Don’t walk behind me; I may not lead. Don’t walk in front of me; I may not follow. Just walk beside me and be my friend.
僕の後ろを歩かないでくれ。僕は導かないかもしれない。僕の前を歩かないでくれ。僕はついていかないかもしれない。ただ僕と一緒に歩いて、友達でいてほしい。
Blessed are the hearts that can bend; they shall never be broken.
しなやかな心は恵まれている。それは決して折れることがないのだ。
You will never be happy if you continue to search for what happiness consists of. You will never live if you are looking for the meaning of life.
幸せが何から成っているのか探し続けている人は、決して幸せになれない。人生の意味を見出そうとしている人は、決して生きているとはいえない。
A man without ethics is a wild beast loosed upon this world.
倫理なき男は、この世に放たれた野獣だ。
Nobody realizes that some people expend tremendous energy merely to be normal.
ある種の人々が、ただ正常であろうとするためだけにとんでもない力を費やしているということを、誰も気づいてはいない。
Without work, all life goes rotten. But when work is soulless, life stifles and dies.
労働なくしては、人生はことごとく腐ってしまう。だが、魂なき労働は、人生を窒息死させてしまう。
You know what charm is: a way of getting the answer ‘yes’ without having asked any clear question.
魅力とは明瞭な質問をしなくてもイエスと言ってもらう方法である。
To be happy we must not be too concerned with others.
幸せになるためには、他人に関与しすぎてはいけない。
Live to the point of tears.
涙が出そうになるくらいに、生きろ。
I have a very old and very faithful attachment for dogs. I like them because they always forgive.
わたしは犬に対して、昔から揺るぎない愛着を持っている。犬が好きな理由は、彼らはわたしのすることをいつも許してくれるからである。
Why should it be essential to love rarely in order to love much?
激しく愛するには、数少なく愛さねばならぬという理由がどこにあろうか。
Don’t wait for the last judgment – it takes place every day.
最後の審判を待っていてはいけない。それは毎日くだされているのだ。
Autumn is a second spring when every leaf is a flower.
すべての葉が花となるとき、秋はもう一つの春である。
Real generosity toward the future lies in giving all to the present.
未来に対する真の寛大さとは、現在にすべてを与えることにある。
Man is the only creature who refuses to be what he is.
人間は現在の自分を拒絶する唯一の生きものである。
Integrity has no need of rules.
高潔さにルールは必要ない。
In the depths of winter, I finally learned that within me there lay an invincible summer.
真冬、わたしはついに自分の中に非常に揺るぎない夏があることを悟った。
Against eternal injustice, man must assert justice, and to protest against the universe of grief, he must create happiness.
人間は永遠の不正に対して闘うために正義を肯定すべきであり、世界の不幸に対して抗議するために幸福を創造すべきである。